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箍(たが) 製作 ~中川木工芸さまより~

みなさま、お疲れ様です。

以前、ブログでご紹介しました「中川木工芸」さんから、早速ご依頼をいただきました。

みなさん「箍(たが)」をご存じでしょうか? 「桶(おけ)」を頭の中でイメージしていただくと、横向きにグルっと金属が巻かれているイメージがありませんか?あの金属のことを「箍」といいます。「桶」の箍が外れると、桶は原形を保てなくなるそうです。

その様子から「外側から締め付けて形を維持しているものがなくなり、それまでの秩序が失われること。緊張を解いて羽目を外すこと」を「箍が外れる」と表現されるようになったのだそうです。

この「箍」は普段、真鍮や銀などを用いることが多いそうですが、今回の箍は全長が・・・

9200mm!!!!(9.2メートル) めっちゃ長い!!ww

周長が9200mmということは、直径がだいたい2800mm(2.8メートル)といったところでしょうか。巨大な桶ですw

というのも、実はこちらは桶として使うわけではなく、展示会の商談ブースを桶の製法で造るというもの。人が出入りできるほどの大きなものになりますので、箍もステンレスを使いたい。ということで、ご依頼いただいたというわけです。

そして、ここでもまたあのお方が登場します。

圧力容器の回でご紹介しました

株式会社メタリスト!!!

溶接をされる方にも、とても勉強になりますので是非最後までご覧ください。

 

 

こちらが4mのステンレス板を繋ぐときの様子です。まだ8mほどですが、すでにかなり長いですw

向こう側の終端は、置いてある材料に突き刺さりそうな勢いですw

写真手前の定盤と、奥に見える黄緑色の台との間で溶接をします。

厚みは2ミリなので、普通に溶接するだけで充分っしょ。

と・・・思ったのですが・・・。

溶接ビードを削ると、何度やっても割れてくる・・・。なんじゃこりゃ・・・。

今日中にあげなきゃいけないのに・・・。どうしよう・・・。

そうだ!!!メタさんに相談してみよう!!!

ということでメタさんこと株式会社メタリストさんに連絡をとりました。

 

メタリストさん曰く、まず重要なことは内部までしっかり溶接ビードで埋めつくすこと。そして内部に酸化物を残さないこと。

解説のため、イラストまで送ってくださいました。

この手順に沿って溶接をし直しました。

すると・・・

さっきまでの見た目と明らかに違いますね!

自分でもどこを溶接したのかわからなくなりましたw

こうして溶接の手順は決まりました。

しかし、更にもう1点、注意しなければならないことがあるそうです。

それは・・・「鋭敏化」と呼ばれる現象です。

鋭敏化とは・・・

こちらもわかりやすいイラストを描いてくださっているのでご覧ください。

図にある元素記号の解説から

Fe・・・鉄

O・・・酸素(通常、Oが2つ結合して酸素分子として存在しているそう)

Ni・・・ニッケル

Cr・・・クロム

C・・・炭素

こちらの図で解説されているのは、ステンレスの中に存在する炭素は、600℃~800℃の間で活発になる特徴があり、鉄から離れてクロムにひっついてしまう。というもの。これが「鋭敏化」と呼ばれる現象です。

つまり、「ステンレスは700℃近辺で放置してはいけない」ということになります。

ではどのように鋭敏化を防げばよいのか?

答えは

「急冷」だそうです。

なるほど~~~~

確かに、言われてみればそうなんです。

しかし、実際に溶接をしている現場に立って、溶接したものが割れてくる。この状況を目の当たりにすると、なんじゃこれ?ってなりましたw

こんなに論理的に解説されては、私の立つ瀬もありませんw 完膚なきまでに知識量、経験値の差を思い知らされましたw

株式会社メタリストさん、お見事です!!

もう一度リンク貼っておきます↓↓

※株式会社メタリスト HP;https://metalist.co.jp/ X(旧Twitter)https://x.com/metalist2018 Instagram;https://www.instagram.com/metalist2018/

 

私はまだまだ未熟で拙い溶接工ですが、これからグングン成長してすぐに追いつきますので!

これからも応援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

と、熱く語っているとかなり話が逸れてしまいました。まだ箍は完成していませんねw

しかし長くなってきましたので、続きは次回に持ち越そうと思います。(すみません)

それでは今日はこのあたりで・・・ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回は僕の頑張ったところなのでね!お見逃しなく!

お疲れ様です◎